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読みやすい冊子をつくるための「余白設定」 ~ 中綴じ・無線綴じで変わるレイアウトの考え方

【公開日:2025/07/10】

冊子の写真

パンフレットやカタログ、論文など、「ページもの」と呼ばれる冊子のデータを作成する際に、意外と見落とされがちなのが「余白(マージン)」の設定です。

特に、無線綴じと中綴じといった綴じ方によって、適切な余白の取り方は異なります。
余白の設定次第で、仕上がりの見やすさや美しさが大きく変わってくるため、注意が必要です。

今回は、実践例を交えながら、冊子の綴じ方の特性に応じた余白設定の基本を解説いたします。
これからデータを作成する方は、ぜひ参考にしてください。

余白とは?その役割と重要性

余白(マージン)の定義

余白とは、マージンとも呼ばれ、文字や画像などのコンテンツを配置しない、ページ内の空白スペースを指します。
冊子では、ページの端や綴じ部分に意図的に設けられ、読みやすさや印刷の安全性を確保する重要な要素です。

なぜ余白が重要なのか?

単なる“空白”と思われがちな余白ですが、実は印刷物の品質を左右する重要な役割を担っています。主な役割は以下の通りです。

1. 読みやすさの向上
適切な余白は、視線の流れをスムーズにし、内容への集中を助けます。
ギリギリまで文字が詰まっていると、読者に圧迫感や疲労感を与えてしまいます。

2. 印刷ズレへの備え
印刷・断裁工程ではわずかなズレが生じることがあります。
余白があれば、重要な文字や図が「切れてしまった」「綴じ部分に隠れる」などのトラブルを防げます。

3. デザインのバランス
整った余白はデザイン全体に余裕と美しさをもたらし、印象をぐっと引き上げます。
逆に、余白が足りないと雑多な印象になりがちです。

4. 綴じ方に応じた機能性
綴じ方によって必要な余白の広さは異なります。
特に無線綴じはノド(冊子の綴じ部分)が開きにくいため、内側のマージンを広く取る必要があります。

まとめ

余白は“見た目のためのスペース”以上に、「読む・伝える・仕上げる」すべての工程に関わる設計要素です。
冊子の綴じ方や用途に応じて、最適な余白設定を意識することが、印刷物の完成度を大きく左右します。

綴じ方による余白設定の違い

冊子の代表的な綴じ方に「無線綴じ」と「中綴じ」があります。
この2つは見た目や製本方法だけでなく、適切な余白設定にも大きな違いがあります。
ここでは、それぞれの綴じ方の特徴と、データ作成時に気をつけるべき余白設定についてご紹介します。

無線綴じ(くるみ製本)


【無線綴じの構造図】

特徴:
・本文の背を接着剤で固め、表紙でくるむ製本方法 ・書籍・報告書・カタログなど、ページ数の多い冊子に適している ・180度に開きにくく、ノド側(綴じ側)は見えづらくなるため、余白を広く取る必要がある

基本マージン設定の目安:
・上・下・外側:10~15mm ・内側(ノド):15~20mm

注意点:
ページ数が多いほど背が厚くなり、ノド部分がより隠れやすくなります。
特に100ページを超えるような冊子では、内側マージンを20mm程度に設定しておくと安心です。

中綴じ


【中綴じの構造図】

特徴:
・用紙を二つ折りにし、中央を針金(ホチキス)で綴じる製本方法 ・パンフレット・会社案内・会報など、ページ数の少ない冊子に向いている(8P~40P程度) ・開きがよく、見開きデザインが映える

基本マージン設定の目安:
・上・下・外側:10~15mm ・内側(ノド):10~15mm

注意点:
見開きで画像やデザインが跨ぐ場合、ノド側に左右3mmずつの余白を確保するのが理想です。難しい場合でも1.5mmずつの余白は必要です。

綴じ方別・内側(ノド)への影響まとめ

比較項目 無線綴じ 中綴じ
開きやすさ 開きにくい(ノド側の余白は多めに) ほぼフラットに開く(ノド側の余白は控えめでも可)
ノドの余白設定 15〜20mm
(冊子の厚みに応じて広めに)
10〜15mm
(やや狭めでも可)
冊子の厚み ページ数が多く、厚くなるほどノド側が埋もれる 薄めの冊子が中心で、ノドへの影響は少ない
見開きデザイン 不向き(ノド側が見えにくくなる) 向いている(左右ページを跨ぐデザインも可)

塗り足し(ぬりたし)が必要な場合

「塗り足し」とは、印刷物の仕上がりサイズの外側に追加で設ける領域のことです。

綴じ方に関係なく、背景や画像がページの端まで印刷されるデザインの場合、断裁時のズレによって白い隙間(紙色の白)が出ないようにするため、この塗り足しが必要になります。

一般的には、仕上がり線より外側に「上下左右3mmずつ」余分なデータを含めるのが基本です。

この領域は最終的に裁ち落とされるため、切れては困る文字やロゴ、図形などは配置しないように注意してください。
例:「A4仕上がり(210×297mm)」の場合、塗り足しを含めたデータサイズは216×303mmになります。

余白設定の実践例

綴じ方や内容に合わせて、どのように余白を設定すればよいか迷いやすいポイントです。
ここでは、よくある仕様を例に具体的な設定をまとめました。

事例:A4サイズ・100ページの論文集(無線綴じ)

【冊子の仕様】

項目 内容
仕上がりサイズ A4(210mm × 297mm)
ページ数 100ページ(本文)
綴じ方 無線綴じ(くるみ製本)
レイアウト構成 文字中心(見開きデザインなし)

【マージン設定(本文ページ)】

位置 マージン(余白) 理由・補足
25mm 全体のバランスを見て、余白をやや多めに確保
15mm ページ番号の配置スペースと最終行の読みやすさを確保
外側 22mm 視線の流れと可読性のため、余裕を持たせる
内側 22mm ノドに文字が隠れないように、20mm以上を推奨

【レイアウト上の注意点】
①ノドに図表・注釈を近づけない
無線綴じは中央が開きにくく、ノドに近い図表は見えにくくなります。

②左右ページで余白を反転させる(見開き対応)
InDesignなどのソフトでは、見開き単位で内・外マージンを自動設定できます。

【サンプル画像】


【冊子を開いた時の見え方】

事例:A4サイズ・50ページの写真が多い冊子(無線綴じ)

【冊子の仕様】

項目 内容
仕上がりサイズ A4(210mm × 297mm)
ページ数 50ページ(本文)
綴じ方 無線綴じ(くるみ製本)
レイアウト構成 写真や背景をページ全面に配置するページもあれば、そうでないページも混在

【マージン設定(本文ページ)】

位置 マージン(余白) 理由・補足
15mm 見た目のバランスを保ちつつ、写真の構図を崩さない範囲で設定
15mm ページ番号やキャプションとの干渉を避ける
外側 20mm 写真や文字が断裁されないよう、やや広めに確保
内側 20mm ノド側が開きにくいため、十分な余白が必要。
※ただし全面画像を配置するページは除く

【データサイズ】

項目 設定内容
仕上がりサイズ 210mm × 297mm(A4)
塗り足し込み 216mm × 303mm(上下左右 各3mm追加)

【レイアウト上の注意点】
①塗り足しは必須
背景や写真をページ端まで印刷する場合は、上下左右に3mmずつ塗り足しを設けてください。
これがないと、断裁時の微妙なズレで白の隙間が発生し、仕上がりの質が大きく損なわれます。

②ノド側に主要な被写体を配置しない
無線綴じ冊子は開きづらく、ノド側に被写体の顔や重要な要素を配置すると見えにくくなります。
見開き写真の場合は、レイアウトを工夫して重要な部分を中央からずらすようにしましょう。

③見開き写真の分割・ズレに注意
写真を左右ページにまたぐデザインでは、綴じ部分で図が切れたりズレたりする可能性があります。
完全なつながりを再現するのは難しいため、見開きデザインは背景用・雰囲気用の写真に限定するのが安全です。

【サンプル画像】


【冊子を開いた時の見え方】

冊子作成の余白(マージン)設定 まとめ

冊子の綴じ方や内容に合わせて、余白や塗り足しを適切に設定することは、読みやすさや仕上がりの美しさに直結します。
印刷前のちょっとした配慮が、完成度の高い冊子づくりにつながります。
ぜひ本記事を参考に、余白も意識しながらデータ作成を行ってください。

「この原稿データで問題ないか確認したい」「綴じ方に合わせた余白設定に自信がない」
そんな場合も、どうぞお気軽にご相談ください。
遊文舎では、お客様のご要望や用途に応じて、最適なレイアウトや製本仕様をご提案いたします。

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