No.145 | 2024年12月号
隔世の感!PDFの問題解決能力印刷データ作成ガイド ②
PDFは何のために開発されたのか?
PDF とは Portable Document Format の略称で、1992年に Adobe(アドビ)社が開発した「電子文書」のファイル形式のことです。PDF は文書共有を目的として開発されました。
デバイス( PC の種類)や OS に左右されず、紙に印刷したようなレイアウトで文書を保存・表示できます。
なによりもデバイスや OS に左右され無い為、共通の表示で文書を共有することができます。またファイルを圧縮・軽量化でき、文書をパスワードで保護できるためセキュリティ面も優れ、インターネットやビジネスシーンでも有効活用されています。
PDFはなぜ流行ったのか?
アドビが目指したのは「 PDF のインフラ化」です。
PDF を表示する為のソフト “Adobe PDF Reader” の無料配布を行った結果、次第に PDF が広まっていきました。
特に、文書をどのような環境でも閲覧できるという特徴があったため、出版業界をはじめとした文書を扱う業界で重宝されるようになりました。
PDFの何がすごいの?
PDF ファイルは文書を紙に印刷したときと同じレイアウトで保存でき、PC やスマホなど、どんな環境で開いても基本的に同じように表示できるのがすごいところです。また、印刷代や紙代の削減にもつながるので、契約書類やマニュアルなど、様々な文書に採用されています。
PDFにすると何がいいの?
PDF 形式で書類を運用することで、文書の作成や社内確認といった作業を PC などのデバイス上で完結することができ、従来の紙媒体での運用よりも効率的に情報共有したり業務を遂行したりすることが可能になります。また、取引先や別拠点に書類を送る際も、郵送のようにタイムラグが発生することがなく、リアルタイムな情報伝達が可能です。
PDFの欠点は何ですか?
PDF は基本1ページごとで完結する保存形式で改ページの概念がありません。それ故にページを入れ替えたり、削除したり、繋いだりできます。また、改行の概念もありません。
その為 PDF にしてしまうと編集や加工が容易にできなくなる 側面があります。有料の専用ソフトが必要になったり特別なスキルが必要になったりします。(近年Adobe社からリリースされている Adobe AcrobatPro ならある程度の編集が可能になっています)
PDFとフォント
PDF にはフォントを埋め込む(エンベット)機能が備わっています。この埋め込みが出来る事でデバイスや OS に左右されず共通の表示で文書を共有することができるのです。
日本語フォントが埋め込み出来るようになったのが PDF バージョン 1.3 からで 1999 年の事です。1.3 の頃は埋め込みが許可されているフォントの種類が少なく実際の運用にはまだ支障がありました。2001 年に日本語の OPEN TYPEFONT(オープンタイプフォント)に対応し、フォントの問題がずいぶん解決し、ほぼすべてのフォントの埋め込みが可能となりました。
またオープンタイプフォントになった事で Macintosh とWindows で共通のフォントが使用出来るようになった事も大きく、それまでの True Type や Type1など機種に依存したフォントの問題がほぼ解決しました。
この頃から PDF が印刷データとして多く使用されるようになりました。現在ではほぼすべての印刷データが PDF で運用されています。
現在でもライセンスの問題で埋め込みを許可していないフォントもあります。“ 富士ポップ ” というフォントが皆さんではなじみがあるのではないでしょうか?お手紙ソフトについているフォントで結構使用される事が多く印刷会社を悩ませているフォントです。

OfficeアプリとPDF
Office アプリでも Office2007 から PDF を保存する機能が備わりました。PDF を保存する方法はオフィスのバージョンにより異なりますが PDF として保存する事ができます。文書を閲覧する際も PDF に保存したものを回覧するとオリジナルの状態で見てもらう事が出来るので非常に便利です。もちろんパスワードで保護する事も出来ますのでセキュリティー面でも安心です。
注釈機能などを使えば閲覧時に訂正依頼や感想なども追加していく事が出来ます。
印刷通販 “ すぐスール ” でも PDF の保存方法をバージョンごとに解説しています。ご利用ください。
▶ https://www.sugusu-ru.com/guide/nyukou_office.html

今回はここまでにします。次回の『遊文通信』で続きのお話をさせて頂きます。
(業務部デジタル部門 本郷 正幸)