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News Letter『遊文通信』

第27回モリサワ文字文化フォーラム [個と群と律] 組市松紋の仕組み

東京2020オリンピックエンブレム制作者である野老朝雄氏による講演会が去る6 月27日(木)に(株)モリサワ本社にて開催されました。これは東京2020公認プログラムとしての開催でもありました。
東京2020エンブレムにデザインされている組市松紋がどのような仕組み、考え方で作られているのかを野老氏のものづくりの考え方を交えながら解説され、デザイン手法としてとても興味深い内容でした。

 オリンピックエンブレムがどのように作られているのか、実際の比率の図形のパーツ(個)を用い、どのような法則(律)で並べ、エンブレムの組市松紋(群)になっていったのかが詳しく解説され、この法則を覚えれば誰でも実際に描けそうなほど詳細な手法を解説され、非常に勉強になりました。小学5 ・6 年生でも頑張れば描けると自身でおっしゃっていました。
 そのパーツの並べ方には数百億通りの並べ方があるそうで、どの法則(律)を選ぶかによって様々なデザイン(組市松紋)になるという、数学的考え方で作られていました。その数百億通りのうちの1 が東京2020オリンピックのエンブレムになり、またそのパターン違いがパラリンピックのエンブレムになっていました。
 野老氏の育った環境のベースには建築というものがあり、非常にシンプルなパーツの積み重ねを繰り返し、デザインをアーキテクトされていました。私はこの解説を聞く前まで、オリンピックの市松文様はランダムな並びのように思っていたので、ある一定の法則性を繰り返しても、ランダムに見える(ゆがみを感じる)という驚きがありました。
 実際、私がデザインをしていて「揃える」・「揃えない」など、パーツを自分の中の法則でグループわけし、そのグループをさらに大きなカテゴリに分け、ということを繰り返しています。でもここまで法則にすべて委ねるということはしていません。感覚的にバランス悪く見えるからです。しかし、オリンピックエンブレムはバランス良く、安定していてしっくり見えます。
 このことから、法則の選び方・組み合わせ方を試す、しっくりくるまで試す、という作業の絶対量の多さを感じました。
 従来自分がよく使っていた手法で再び制作することはあまり気が進まず、新たなものを求めがちでしたが、ごくシンプルなことでも法則・組み合わせのチョイスを選び直すという観点でものづくりを追求していくと、新しいものができるということを知り、光が射したように思いました。

(制作課 乾 摩耶子)

 

▲セミナーのチラシをコピーすると折り紙になります。
折ってみると模様の重なるところがあり、折手の任意でまた違った組市松紋を構成することができます。

YouTube で組市松紋のアルゴリズムによるパーツの組み合わせの変化を見ることができます。

■ Tokyo 2020 NIPPON FESTIVAL concept video

https://www.youtube.com/watch?v=jROK4VbBK40
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