No.108 | 2020年11月号
次世代を見据えて ~新生産機の導入のお知らせ
いつも『遊文通信』をご愛読いただき誠にありがとうございます。
去る10 月18 日、遊文舎大阪本社に「TASKalfa Pro 15000c 」が導入されました。これは、京セラドキュメントソリューションズが海外の実績を引っ提げて満を持して日本の出版・商業印刷市場に投入したインクジェットプロダクションプリンターです。
日本国内一号機となります。その機能と導入の狙い、お客様に提供できる新たな付加価値についてレポートいたします。
枚葉(カット紙)型インクジェットプリンター
TASKalfa Pro 15000c
日本国内一号機導入
導入の背景
現在、遊文舎ではハイデルベルグスピードマスター102 をメイン機としたオフセット印刷ラインとゼロックスイリデッセ、nuvera288 を主体としたトナーPOD(プリントオンデマンド)ラインを併設しています。JOB の内容は近年多品種小ロット化に拍車がかかり、平均ロットは2000 を切っています。特にカラー印刷の場合、オフセットとPOD の損益分岐ラインはロット300 ですので増加している300 ~ 1000 のロットの製本加工まで含めた生産性向上が課題となっていました。
導入の経緯
数年前から情報収集を重ね、フジフィルムのJet Press に代表されるハイエンドデジタル印刷機の導入も検討しましたが、市場開発を前提とされていて運用が相当難しく、既存のJOBから速やかに置き換えできそうにありませんでした。また初期投資が数億円単位で作業スペースの確保も難しく、導入に踏み切れませんでした。そのような中、丁度既存のトナーPOD 機とハイエンドデジタル機の中間層を埋めるデジタル機が投入されたので思い切って導入した次第です。
TASKalfa のスペックと特長について
● 4 色カラー印刷機です。
● 出力スピードはA4 片面換算で1 時間9000 枚と、従来のゼロックス= イリデッセの25%増しです。
*オールカラー100 ページ500 冊が5 時間程度で出力できます。
● 最大用紙寸法は320cm × 450cm ですが、無線綴じ冊子製造に特化させるべく、A4、B5 の単頁ペラ出力限定の運用を想定しています。
● ホリゾンの製本ラインと相性が抜群で、POD で課題であった用紙のカールが発生しません。
● 解像度は600dpi です。文字の印字品質はオフセットやイリデッセと変わりませんが、カラー写真類はそれらに及びません。
● 塗工紙(コート系)非対応です。
お客様に提供できる価値について
印字品質や用紙等条件を満たせばカラー・モノクロ問わず、無線綴じ・中綴じの1000 部までの冊子類の造本コストが下がります。また納品までのリードタイムも短縮でき、可変印刷にもより柔軟に対応できます。また最近ご要望が増加しているモノクロ冊子で1 部グラビアページをカラーにしたいといったリクエストにもオフセットよりローコスト・短納期で対応できます。
オフセットとデジタルの工程差異
A4・100 ページ・1000 冊・オールカラーの場合
*一つのジョブにつき100,000 頁(A4 換算)を上限に運用を検討しています。
インクジェット方式のPOD 機運用は弊社にとっても初めてのことですので、メーカー様と連携しつつ、お客様の声を広く集めながら商品サービス・品質向上の一助とするべく、取り組んでまいります。今回の投資にとどまらず、変化の激しい印刷業界で存続成長を成し遂げてゆくために、最先端の技術への研鑽を惜しまず、従業員一同成長していく所存です。そのために、お客様は勿論のこと、協力や情報提供をしてくださる取引先の皆様との関係も大切にし、どちら様ともwin win の関係性を築けますよう努めます。今後とも遊文舎へのご支援の程、引き続きよろしくお願い申し上げます。
代表取締役 木原 庸裕
(左から)業務部 ● 秦・土肥・西澤