No.59 | 2016年4月号
飛んでみよう!飛んで行け! ―自費出版あれこれ その1
1 .どんどん消える町の本屋さん
私の住む十三界隈で唯一の遠野書店が昨年10月閉店しました。遊文舎の周辺でも本屋さんはとっくに消えて、コンビニで雑誌を見かける程度になってしまいました。
出版不況と騒がれて久しく、商業出版の売上はピーク時の1996年の半分に激減し、町の本屋さんもどんどん廃業しています。
一方、図書館の貸出数やブックオフの販売冊数は伸びており、読書人口が減っているわけではないとの分析のなかで、自費出版市場は相変わらず活況を呈しています。商業出版物の発行点数より自費出版物の方が多いというデータもあります。
商業出版と自費出版のちがいを以下にまとめてみました。

2 .「紙」があっての「電子」
商業出版の「紙書籍」凋落と、「電子書籍」の隆盛は対立的に見られたりしますが、そうではなく、著者が読者に届けたい情報を表現するのに適した媒体、適した形、それが紙だけではなく電子に広がったという進化=変化の一つだと考えます。今後も様々な形態に進化していくだろうと期待できます。
紙・電子の両者が機能しあい連携する事で、読者と本との出会いのチャンスが増えていく、特に手軽に出版できる自費出版市場でそんな状況が生まれてきています。講談社は紙と電子の同時発売を始めましたが、「紙があっての電子。まずは紙が売れることが基本戦略である」と宣言しています。
「紙書籍」がなぜ無くならないかというと、基本的に紙と電子では、魅せ方や役割が違うのです。画集や詩集に限らず、紙の手触りで醸し出される世界は豊穣で、電子ではかなわないのです。読者層が限定されず、機器の陳腐化などの負荷からも自由な「紙書籍」。アーカイブでもツールは紙保存なのです。
3 .感動を形あるものにする
さまざまな形の感動を活字によって「形あるもの」にし、それをまだ見ぬ読者に渡して共有すること、その架け橋が自費出版の原点です。
自分の想いや経験をこの世に作品として残すことによって、人と人をつなぐ新しい出会いが生まれます。子供たちは読書を楽しむことにより、多様な価値観を知り、広い世界観に目覚め、豊かな人生観を得ていくことができるのですから。
団塊の世代が原動力といわれる自費出版。一般に思われるほど高嶺の花ではありません。
次号では、皆さんの周辺の方、自分を見つけたい、人と繋がりたいと何か書き溜めておられる方へ、♪自費出版へ飛んでみませんか♪とお誘いしたいと思います。

(株式会社ユニウス 三宅由美子)