No.64 | 2016年9月号
		インダストリー4.0の近未来に向けて ともかくやってみよう!やってわかることがたくさんある
		
			 前号では急速に進展する第4 次産業革命の今後を考察しました。大量生産大量消費前提の経済原理で拡大してきたマーケットが、人工知能とインターネットの融合により一気に大変革するという近未来。いま中小企業が「見るまえに飛ぶ」ための具体的な提言を紹介するとともに、ご多忙のなか本レポートを寄稿くださった杉田晴紀様にあらためて感謝申し上げます。
			
(編集部)
		第四次産業革命に対し、今、日本の中小企業が考えるべきこと(その2)
		中小企業にとっての第四次産業革命の機会と脅威
		
			 ビジネスチャンスは多品種カストマイズサービスの拡大で、中小企業の機動性や柔軟性が活かされる領域です。逆にリスクもあり、ビジネス性を無視したカストマイズは論外として、リアルタイムで変化が起こりうる市場環境となるため、投資した領域がすぐに陳腐化するリスクが拡大します。回避策は限定領域でのテストマーケティングを実践しPDCA をまわすことです。
 もうひとつは、地域密着型サービス。第四次は、生活・移動空間全体をセンサリングして最適なサービスを提供する領域にまで進むでしょう。当然、地域密着型のサービス連携が今まで以上に重要となります。リスクはサービス品質です。よりタイムリーできめ細かい対応が求められます。対応の結果までAIは把握しますから、サービス会社交代をお客様に進言する事だってあり得ます。
 中小企業が「今」やっておくべきことを3 つばかり提言します。
		
		1 )想定シナリオワークの勧め
		
			 自社商品・サービスのニーズの多様化はどこまで進むのか、付加価値がどれくらい上がって、原価はどうなるのか。あるいは関連業界やお客様で著しく多様化してゆく領域はあるか。そこに対して自社の機会の有無はどうか。若手中心タスクでのシナリオ創りや、大学生インターンシップ課題でもいいでしょう。自分事になります。
		
		2 )異業種とのコミュニケーション拡大
		
			 第四次では、これまで関係性の薄かった業界や機能同士の価値との連携連鎖が起こります。まずは、異業種コミュニケーションを意図的に進め、外と繋がるマインドを醸成すべきです。
これは社内の中核を担うミドルマネジメント層がキーです。
		
		3 )デジタルマーケティングの実践
		
			 自社の特定の商品・サービス領域でビッグデータやAI を活用した活動を意図的に創り実践してみることです。お勧めはSNS を活用したデジタルマーケティング。(図2 )たとえばフェイスブックは世界で16億人の実名中心のアクティブアカウントを持つビッグデータであり、かなりの属性検索ができます。PDCA をまわすのに3 か月あれば十分ですし、社員が自ら実践しながら学んでゆけます。
		
		
			
				図2 .FB を活用したデジタルマーケティング実践
				 
			 
		 
		
			 おわりに
 「虎穴に入らずんば虎児を得ず」「百聞は一見にしかず」は今も昔も真理。世の中、やって見なければわからないことばかりです。ATM(明るく楽しき前向きに)の精神でいっしょに進んでゆきましょう!
		
		(富士ゼロックス株式会社 マーケティング部 杉田 晴紀)